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歯周病予防の新たな選択肢
〜歯周病菌ワクチンについて〜
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⻭周病とは...
⻭周病は成犬、成猫の約 8 割がかかっている歯科疾患です。
進行すると口臭が強くなり、⻭の痛みや⻭が抜けるだけではなく、 慢性鼻炎や肺炎などの全身の感染症の原因にもなる進行性の感染症です。
口腔内には多くの種類の細菌が存在しますが、その中で⻭周病の主な原因となるのが、Porphyromonas(ポルフィロモナス)属の
犬ではPorphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス ジンジバリス)
猫ではPorphyromonas gulae(ポルフィロモナス グラエ)
であることが分かっています。
この細菌は以下のような特徴を持っています。
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特殊なタンパク分解酵素の産生により、⻭肉を溶かす
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直接細胞を傷つけ、⻭肉の炎症を引き起こす
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口腔内の免疫力を弱らせ、他の口腔細菌を活発化させる
つまり、この細菌は、他の口腔細菌を引き連れ、⻭周病を進行させていく存在であることが判明しています。
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⻭周病菌ワクチンとは...
今回、新たに開発された歯周病菌ワクチンは、
このPorphyromonas属の細菌に対してのワクチンとなります。
このワクチンは一般的な注射タイプのワクチンと異なり、
点眼タイプの粘膜ワクチンであり、
点眼することで眼粘膜だけではなく、口腔内や鼻粘膜など
粘膜面での免疫が効率的に誘導されることが研究で判明しています。
(これらは大学時代に所属していた大阪府立大学の獣医免疫学教室の研究内容で、卒業後も研究を重ねられて、近年、協賛している動物病院限定ですが、実用化に至りました)
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期待される効果
① 若齢時から使用
→ ⻭周病の発生そのものを予防する効果
② スケーリング(⻭石除去)後に使用
→ その後の口臭や⻭周病の進行を予防する効果
③ スケーリング(⻭石除去)が困難な場合
→ ⻭周炎や口臭を軽減する効果
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ワクチン間隔
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初回は2回接種(2週間間隔)
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追加接種は6ヶ月毎が推奨されています
※ 歯周病ワクチンは保険対象外となりますのでご了承ください
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〜ワクチン点眼の様子〜
当院のアニマルスタッフの
すみれ(犬)とアッシュ(猫)
点眼は乳白色で刺激性などはなく、2匹とも嫌がらずに点眼させてくれました!