がん治療の新たな選択肢
〜抗腫瘍ワクチンについて〜
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がん治療の現状の選択肢
① 外科手術
メスによって病巣を切除する方法です。
しかし、転移した場合、手術では切除できない場合があります。
② 化学療法
抗がん剤を内服または静脈注射により投与して、増殖中の細胞を殺傷する方法です。
正常細胞でも、特に増殖率の速い、白血球・毛根細胞・消化管上皮細胞などに毒性(副作用)が生じます。
③ 放射線療法(大学病院への紹介が必要)
がん病巣めがけて、数回にわたり放射線を照射し、そこにあるがん細胞を消滅させます。
しかし、がん細胞周辺にある正常な細胞まで破壊され、それが副作用となってあらわれる場合があります。
また、動物に放射線療法を行う場合は、全身麻酔が必要となり、身体への負担も大きくなります。
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がん治療の新たな選択肢「自家腫瘍ワクチン療法」
腫瘍は同じ種類でも、個々で特徴(腫瘍抗原)が異なります。
自家腫瘍ワクチンは、
① 外科手術時に摘出した腫瘍組織や、局所麻酔下のパンチ生検で腫瘍組織の一部を凍結保存
② 腫瘍組織に含まれる腫瘍抗原を T-DCD キットを用いることで微小カプセル化
することで作製します。
これにより、腫瘍抗原を効率的に自らの免疫細胞(樹状細胞)に届けることが可能となり、腫瘍に対しての自らの 免疫を活性化することで、副作用が少なく抗腫瘍効果を発揮することが可能となります。
動物自身の組織を使うことで、副反応が少なく、効果を発揮する、究極のオーダーメイドのワクチンと言えます。
(これらは大学時代に所属していた大阪府立大学の 獣医免疫学教室の研究内容で、従来では大学などの 研究室内でしか作成はできませんでしたが、研究が進み、 協賛する動物病院限定ですが、近年実用化に至りました。
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期待される効果
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手術(摘出)後に使用
→ 転移や再発を予防する効果、生活の質を向上する効果
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手術(摘出)が困難な場合
→ 腫瘍の一定の縮小効果、進行を遅らせる効果、生活の質を向上する効果
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ワクチン間隔
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2 週間間隔で計2 回接種(注射)
※ 抗腫瘍ワクチンは保険対象外となりますのでご了承ください。